こころの通う「対話の会」の開催に至るまでの経緯

 

 私は、昨今の社会状況を見聞きするにつけ、自殺対策に少しでも効果がありそうな活動を一刻も早く始める必要性を感じていました。そんな折り、今年(2009年)の8月上旬、地元の新聞「桐生タイムス」に、市内に住む30代の女性が書いた「悩みを話せる場がほしい」という投書が掲載されました。それを読んだ私は、安心して悩みを話せる場がほしいと思っている人がいることを再認識しました。そして、以前、ボランティア仲間と一緒に、市内の公民館や市民活動推進センター「ゆい」等で開いていた「対話の会」を思い出しました。この会は、コミュニケーションスキルを習うことが主目的でしたが、練習を兼ねて語り合ううちに、自然と悩みが軽減したり、友人ができたりという副次的な成果がありました。ただ、メンバーがだんだんと多忙になり、参加者が少なくなってしまったため、残念ながら休会したまま現在に至りました。ところが、先の投書を読んだことが一つのきっかけとなり、さまざまな事情により、生活すること自体が苦しくなっている今だからこそ、前に開いていた「対話の会」を再開しようと考え始めたのです。

 ちょうどその頃(10月24日)、東京で「自殺多発場所での活動者サミット」が開催されました。私は、主催団体である「自殺のない社会づくりネットワーク設立準備会」の実行委員の一人として、その準備に半年ほど関わってきました。当日は、福井県の東尋坊で自殺企図者の保護活動をしている茂さん等、全国の自殺多発場所で活動している人たちと一緒に、自殺の問題を考え、語り合いました。これらの活動からエネルギーをもらって、私は、「対話の会」を開くことにしました。

 今度の「対話の会」の主目的は、コミュニケーションの方法を学びながら参加者同士が自由に語り、聞き合うことを通して、日常生活でのストレスを解消することです。そして、日常生活の中で自分の話を聞いてくれる人が身近にいない人が自由に語れる場にもしたいと考えています。

 課題は、安心して語り合える雰囲気を、どのようにして維持するかです。自由な発言は、ときどき、思わぬトラブルを引き起こすからです。それを予防・防止する方策の一つとして、今回は、以前に増して、「自分の考えや気持ちを言う前に、相手が言いたいことの要点を、相手に言葉で確かめる」ことを、ルールの一つとして共有しようと考えています。これは、〈対話法〉の原則として、私が以前から提唱してきた方法です。参加者全員が、このルールを意識することにより、コミュニケーションに起因するトラブルが予防・防止できると共に、日常におけるコミュニケーションの改善にもつながると考えています。

 余談ですが、これまで私は、〈対話法〉の理論を広く「知ってもらう」ための活動に全力をそそいできました。おかげで、だいぶ各所に浸透してきたため、最近は、〈対話法〉を「応用した活動」に取り組む心のゆとりができてきました。その手始めが、自殺のない社会づくりをめざす「対話の会」です。

 これらの計画を、先のローカル新聞の投書欄に掲載してもらったところ、「対話の会」への賛意と共に、「市内各地の公民館でも開いてもらえないだろうか」とのリクエストが、数人の読者から早くも寄せられました。始める前からの大きな期待に驚くとともに、責任の大きさを感じています。まずは、活動を地道に続けながら、会の世話をするボランティアを増やしていく予定です。

 「対話の会」の活動は、必ずしも直接的な自殺対策には繋がらないとしても、悩みを深刻化させないための予防・防止という意味では、大いに役に立てるのではないかと考えています。群馬県内はもちろん、近県にお住まいの、関心のある方の参加をお待ちしております。

 なお、通常は誰でも参加できる会ですが、これが軌道に乗ってきたら、ときどき、自死遺族の方などに限定した集いも開きたいと考えています。

2009年11月29日

 

2010年1月からは、東京都内でも開催しています。

 

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